大判例

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東京高等裁判所 昭和43年(行ケ)84号 判決

(争いのない事実)

一、本件に関する特許庁における手続の経緯、本件意匠の構成その他及び本件審決理由の要点がいずれも原告主張のとおりであることは、当事者間に争いのないところである。

(本件審決を取り消すべき事由の有無について)

二、原告は、本件審決は、本件意匠と引用意匠(それが本件意匠の登録出願前公知であつたことは当事者間に争いがない)との差異を看過誤認した旨主張するが、右主張は理由がないものといわざるをえない。すなわち、成立に争いのない甲第三号証から第十号証の各一から三によれば、引用意匠の構成は本件審決認定のとおりであることを認めうべく、これと本件意匠とを対比すると、両者は、袖部の上下の縁線において、両縁が直線状であるか、上縁が直線状で下縁が弧線状であるかの点、袖先がやや細く絞られているか否かの点及びポケットの形状等の点等において差異があるが、他面、婦人用トッパーとしての全体の輪郭、形状、色彩並びに襟の形状、袖の付け方、ポケットの縁飾片の形状、付け方等の点において酷似していることが認められ、これらの事実に鑑定人上野清香の鑑定の結果を参酌して考量すると、本件意匠と引用意匠とは、部分的には若干の差異はあるにしても、婦人用トッパーとしての全体的考察においては、意匠としての本質的の差異はなく、全体として相類似するものであると認めるを相当とし、他に右認定を左右するに足る証拠はない。原告は、両意匠の比較においては、その着用時における類否をも考慮すべきものである旨主張するが、着用時における原告主張の差異なるものも、さまで顕著なものといいがたいのみならず、多分に着用者の体格、姿勢等によつて左右されるものであることは見易いところであるから、その主張の程度の差異をもつて直ちに婦人用トッパーの意匠としての両者の本質的差異と見ることは相当でないといわざるをえない。

(むすび)

三、叙上のとおりであるから、本件意匠と引用意匠とは、その若干の差異にかかわらず、婦人用トッパーの意匠として、看者に与える審美感において、相類似するものというべく、したがつて、右と異なる見地から、その主張の点に判断を誤つた違法があることを理由に本件審決の取消を求める原告の本訴請求は、理由がないものというほかはない。

よつて、これを棄却することとする。

〔編註〕 本件に関する別紙は左のとおりである。

別紙第一 本件意匠

構成

正面図

<省略>

背面図

<省略>

背丈を胴の横幅よりやや長くし、袖付はラグラン状に斜に取り付け、袖は漸次やや先細にして上下の縁を傾斜した直線上に現わし、袖先の前面及び背面に各二本の襞を現わし、襟は帯状で前合せとし、前部はV字形に現わし、その下端部を漸次やや幅広く、端部を丸くし、ポケツトは下縁を丸くして正面の前右下部に一個設け、その口部に、外側方に傾斜し端部が漸次やや広く端を丸くした飾縁片を取り付け、全体の色彩は濃緑色とし、襟の下端部とポケツトの飾縁片の末端とに黒色ボタン状部を設け、裏は灰色に現わしたもの。

登録出願 昭和三十年十一月二十八日

登録   昭和三十一年七月九日

登録番号 第一二〇、七〇六号

指定物品 旧第一類婦人トツパー

別紙第二 引用意匠(本件意匠登録出願前公知の婦人用トツパーの意匠)

構成

背丈を胴幅よりやや長くし、袖付はラグラン状に斜めに取り付け、袖は漸次先細にし、上縁は直線状に、下縁は弧線状にそれぞれ現わして、袖先部はやや細く絞り、袖先部の前面及び背面に各二本の襞線を現わし、襟は帯状で前合せとし、前部はV字形に現わし、その下端部を漸次やや幅広く、端部を丸くし、ポケツトは下端を角丸状にして正面の前右下部に一個設け、その口部に外側方に斜めに傾斜した端部が漸次やや幅広く端を丸くした飾縁片を取り付け、襟の下端部とポケツトの飾縁片の末端とにボタンを取り付け、全体を濃緑色としたもの。

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